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学校給食の米飯化を目標とするボランティア団体


by kyusyoku
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兵庫県宍粟市の完全米飯給食

宍粟市栄養士・田路永子先生にお話を聞きに伺いました!
以下「おむすび通信」掲載文より抜粋です。

今から15年も前、平成5年から完全米飯給食(現在月1回のパン食有り)が実施されている、旧宍粟郡(しそうぐん)山崎町(平成17年宍粟市に合併)。給食といえば、まだパンが当り前の当時、どうしてごはんの給食が実施されたのでしょうか。当時から栄養士としてお勤めの、田路(とうじ)先生にお話を伺いに行ってきました。

宍粟市は姫路市の北、兵庫県中西部に位置する人口4万人余りの山間の町です。山崎・一宮・波賀・千種の4つの町からなります。中国自動車道山崎インターチェンジから路線バスで揖保川沿いを上流に向う事20分。田路先生が現在お勤めの一ノ宮給食センターにおじゃましました。

兵庫県宍粟市の完全米飯給食_b0029980_2256884.jpgこの日は月に一度の「ふるさと献立」の日で兵庫県産の食材を100%使った特別な日でしたが、普段からお米は100%兵庫県産、週に3回七分搗きにされたお米が納入されます。その他の食材も市内で栽培された旬の食材を取り入れることが基本とされていて、地元のJAと納入可能な食材を毎月協議し、献立が決められるそうです。

このシステムも、完全米飯給食も、旧宍粟郡山崎町から始まり、合併後他の3町にも広がったそうですが、15年前まで山崎町には給食がありませんでした。
給食を始めるにあたり「家庭でのパンが当り前になっている今、給食でパン食を普及する必要はなくなっている。日本の食文化の基本である米飯給食こそ必要ではないか。」という田路先生のお考えが、自らも農業を営まれている給食センター長のお考えと重なったのでしょう、完全米飯給食に向けて、そして地元の食材納入に向けて行政が中心となって動いて行った様です。

給食開始初日の献立は「赤飯・さわらの照り焼き・おひたし・みそ汁」でしたが、「こんな昔の物を、今の子どもたちが食べるのか?」という周りの心配の声があまりに大きく、さすがの田路先生も不安になられたそうです。でもその心配をよそに、子どもたちには「あんがい美味しかった!」と好評で、さわらの照り焼きは人気メニューの一つになったそうです。田路先生は「子どもは大人に比べて、良い事も悪い事も慣れるのが早い。」と感じるそうです。だからこそ、大人が食べさせたいものをしっかりと考えなくてはいけないのだなと思いました。

田路先生は元々、アレルギーのある子でも安心して食べられる米飯給食、手作り給食をと考えられていましたが、栄養士一人では何も出来なかった。そして今の完全米飯給食も、地元産優先で食材が得られる事も、行政、生産者、PTA、教育、給食職員など周りの方のお陰だと何度もおっしゃっていました。

そして、近くの神戸小学校の給食の時間にもおじゃましましたが、皆にこにこ元気で、かれいの一夜干を何のためらいもなく頭からきれいに食べる姿が印象的でした。ここでは昨年各学級に生産者を招いて給食をいっしょに食べてもらう「ふれあい給食」が実施されたそうです。子どもたちが食べ物を身近に感じることはもちろん、生産者の方にとっても給食で子どもたちに食べてもらえるという事は、とても励みになっておられるそうです。こだわりの食材を給食センターに持って来て下さる方がいたり、取材の合間にも農家の方から電話がかかって来たりと、子供たちのために市を上げて給食に取組まれている姿勢を感じ、帰路についてからもその温かさに感動していました。

このような環境の中で何気なく毎日ごはんの給食を食べている子どもたちですが、将来も健康に生きていくための知恵を沢山もらっているのだろうなとうらやましく思いました。

最後になりましたが、お忙しい中、温かく対応して下さった一宮給食センターのセンター長様はじめ職員の方々、神戸小学校の校長先生はじめ職員の方々に感謝致します。
by kyusyoku | 2008-11-26 22:58 | 支部だより